東京湾のマダコは、都心から近い港から出て、半日で帰ってこられることも多い釣りです。仕掛けもシンプルで、キャストもいらない。それでも初めての一日は、乗る前の段階で迷うことが多い釣りでもあります。
- ラインは何号を巻けばいいのか
- 竿とリールは手持ちのもので足りるのか
- タコエギとテンヤ、どっちを買えばいいのか
- 釣れたあと、どうやって持ち帰るのか
この記事は、その「乗る前の迷い」をまとめて片づけるための全体ガイドです。個別に深い判断が必要なテーマは、それぞれの記事に分けてあります。
結論:先に決めるのは「船宿」、道具はその後
順番を間違えると遠回りになります。船宿を先に決めて、その船宿のルールに合わせて道具を決めるのが最短です。
理由は単純で、船タコは船宿ごとの指定が効く釣りだからです。オモリの号数を統一している船は多く、統一されていればその号数が竿の要求スペックを決めます。PE号数に目安を出している船宿もあります。先に道具をそろえてから船を決めると、「買ったオモリが使えない」が起こります。
決める順番は、こうなります。
- 出船する港と船宿を決める(予約時にオモリ号数・PE号数の指定を確認)
- 指定オモリを背負えるロッドとリールを決める
- PEとリーダー、タコエギ/テンヤをそろえる
- 服装とクーラーを用意する
東京湾の船タコはどんな釣りか
船が浅場のポイントに入り、船長のアナウンスで仕掛けを落とす。底を取ったら、オモリを海底で小突きながら、タコがエギやテンヤに抱きつくのを待つ——というのが基本の流れです。
キャスティングやジギングと違って、当たりが「引き」として出ないのがこの釣りの特徴です。タコは根やゴミに抱きつくのと同じ感覚でルアーを抱えるので、手元に来るのは「重くなった」「底から剥がれない」という違和感だけ。そのため、次の2つが釣果に直結します。
- 底を切らないこと:常に底のわずか上、または底を叩き続ける
- 重さの変化に気づくこと:根掛かりか、タコか、判断して即アワセ
このどちらも、道具の感度と、オモリを背負い続けられる竿の性格に支えられます。だからタックル選びが「好み」ではなく「効き」の話になります。
タックルの基準
数字はあくまで一般的な目安です。船宿の指定が出ている場合は、そちらが優先されます。
| 項目 | 目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| ロッド | 1.5〜1.8m前後/オモリ負荷30〜60号 | 短く張りがあるほど小突きやすい。負荷は指定オモリを基準に |
| リール | 小型ベイト(PE3号が100m以上巻けるもの) | 手巻きで十分。巻き上げの力が欲しいならパワーギア寄り |
| PEライン | 2〜4号(迷ったら3号) | 根掛かり回収で引っ張る釣り。細すぎると切れる、太すぎると潮を受ける |
| リーダー | フロロ8〜12号を1m前後、または直結 | 擦れ対策。長く取る釣りではない |
| オモリ | 30〜50号(船宿指定が最優先) | 潮と水深で変わる。統一している船が多い |
| タコエギ/テンヤ | 3.5号前後を複数 | 色は当日で当たり外れが出る。数と種類を用意 |
PE号数は「3号か4号か」で最も迷うところです。この判断は理屈が長くなるので、船タコのPEは3号?4号?東京湾で実際に釣って考えた選び方に分けました。
リールについても「高いリールを使う意味があるのか」という疑問が必ず出ます。こちらはタコ釣りに高級リールはもったいない?必要な性能から考えるにまとめています。
手持ちのタックルで代用できるか
できる場合もあります。判断基準は2つだけです。
- 指定オモリを背負ったまま、一日小突けるか(=竿の反発と自重)
- タコを抱えたまま抜き上げられるか(=バットの強さ)
ライトゲーム用の柔らかい竿は、オモリ負荷が足りず小突きが伝わりません。逆に硬すぎる青物ジギングロッドは、重さの変化が分かりにくくなります。迷ったら初回は船宿のレンタルで、感覚をつかんでから買うほうが結果的に安上がりです。
タコエギとテンヤ、どちらを使うか
東京湾の船タコでは、タコエギ(エギ型)とタコテンヤ(餌を縛るタイプ)の両方が使われます。船宿やその日のスタイルによって主流が変わるので、予約時に「どちらが中心か」を聞いておくのが確実です。
- タコエギ:手返しが速い。複数個を同時に使う仕掛けもある。餌の準備がいらない
- タコテンヤ:餌(豚脂身・カニなど)の集魚力を使える。船宿で餌を扱っていることがある
どちらにしても、予備は多めに。根に入れる釣りなので、ロストは前提です。
当日の流れ
- 集合・受付:出船時間は船宿により前後。氷とライフジャケットの扱いを確認
- 移動:東京湾のタコ場は港から近いことも多く、移動が短い日もある
- 投入:船長の合図で落とす。周りと同時に落とすとオマツリしにくい
- 底取り・小突き:着底したら糸フケを取り、底を叩く。船が流れるのでこまめに底を取り直す
- アワセ:重くなったら送らず即アワセ。吸盤が剥がれる前に、一気に底から引き剥がす
- 巻き上げ:緩めない。テンションが抜けるとバレる
- 取り込み:抜き上げか、船宿の指示に従ってタモ
初日のミスで一番多いのは、底を切ったまま気づかないことです。潮が速い日ほど、糸が流されて底から離れます。「重さが軽くなった」と感じたら、まず底を取り直してください。
服装と持ち物
タコ釣りは濡れる・汚れる・墨がつく釣りです。
- 濡れてもいい服:墨は落ちにくい。白は避ける
- ライフジャケット:着用は必須。レンタルの有無を船宿に確認
- タオル複数枚:手が常に濡れて滑る
- クーラーボックス+氷:持ち帰りの品質を決める。船宿で氷を分けてもらえることが多い
- ジップ袋やビニール袋:タコを個別に入れる用
- 手拭き・ウェットティッシュ:ぬめり対策
雨の日にどこまで大丈夫か、半ズボン+カッパで行けるのか、という疑問は別記事にまとめています。→ 雨の日の船釣りの服装|半ズボン+カッパでも大丈夫?
オフショア全般の持ち物はオフショア初心者の持ち物・服装リストも合わせてどうぞ。
釣った後:締め方と持ち帰り
釣ったマダコをそのままクーラーに放り込むと、暴れて墨を吐き、身が痩せます。船上での処理で持ち帰りの質がはっきり変わる部分です。
基本は、潮氷(海水+氷)で動きを止めてから持ち帰る方法です。詳しい手順と、家に帰ってからのぬめり取りまでは釣ったマダコはどう締める?船上での処理とクーラーへの入れ方にまとめました。
ルールの確認事項
釣りのルールは都県と船宿で決まります。ここは一般論と船宿指定を混ぜないことが大事です。
- **遊漁で使える漁具・漁法は、都道府県の漁業調整規則で定められています。**竿釣り・手釣りの範囲で行うタコエギ/テンヤは一般的な遊漁の釣り方ですが、たこつぼ・たこかごなどの漁具や、潜水による採捕は遊漁者に認められていないのが通常です。出船する都県(東京都・神奈川県・千葉県)の規則を確認してください。
- **漁業権が設定されている区域での採捕は、方法によっては問題になります。**乗合船に乗っている限りは船長の指示に従えば大丈夫ですが、陸からの採捕は別の話です。
- **サイズや持ち帰り数の扱いは、船宿ごとの方針がある場合があります。**予約時・乗船時の案内に従ってください。
次に読む
- PEの号数で迷っているなら → 船タコのPEは3号?4号?
- リールにいくらかけるか迷っているなら → タコ釣りに高級リールはもったいない?
- 釣った後の処理を知りたいなら → 釣ったマダコはどう締める?
- 天気が怪しいなら → 雨の日の船釣りの服装
- 東京湾そのものを知りたいなら → 東京湾のエリアガイド